日 時: 平成27年10月1日(木)18時~
場 所: 産業医科大学2号館 2階 2208教室
担 当: 産業医科大学小児科 膠原病・凝固グループ
演 者: 伊藤琢磨、白山理恵、佐藤哲司
テーマ: 乳児血管腫
要 旨:
乳幼児血管腫は乳幼児において最も頻度の高い良性腫瘍で,乳幼児の1-2%に認められる。1 年程度の増殖期の後,85-90%の症例において自然縮小が認められ、表在の典型病変では経過観察とし特に加療は行わない。しかし、腫瘍の存在部位により重篤な気道狭窄などが生じる場合や,血小板減少・線溶系亢進・消費性凝固異常を伴うKasabach-Merritt 現象を合併する場合,あるいは,視力障害・潰瘍形成・出血・心不全などを伴う場合には,自然縮小を待たずに早急な治療が必要となる。
これまでの治療はステロイド,ビンクリスチン、サイクロフォスファミド、インターフェロンなどの薬物治療や放射線療法,血管塞栓術,レーザー焼灼術や凍結手術といった腫瘍減量手術や腫瘍摘出術であったが、2008年に乳幼児血管腫に対するプロプラノロール投与の有用性が報告されて以降、治療は大きく変わりつつある。今回のセミナーでは、乳児血管腫に関して、特に治療法に焦点を当てて整理し報告する。