6月クリニカルカンファレンスのお知らせ

【産業医科大学小児科クリニカルカンファレンス】

日 時 : 令和3年6月14日(月)19:00

場 所 : 産業医科大学2号館 2 2208教室

担 当 : 新生児グループ

演 者 : 荒木 俊介

テーマ: 治療可能となったNICUで診療する骨系統疾患Update

要 旨 : 近年、いくつかの骨系統疾患においては分子レベルでの病態の解明が進み、疾患特異的な治療が開発されている。低ホスファターゼ症は血清アルカリホスファターゼ値の低下と骨石灰化障害を特徴とする疾患であるが、酵素補充薬の導入により従来は早期に死亡していた重症例の救命が可能となった。また、X連鎖性低リン血症性くる病は、線維芽細胞成長因子23(FGF23)の過剰産生が病態の基盤となるが、2019年に他のくる病と鑑別するためのFGF23測定が保険適用となり、さらに新規治療薬としてFGF23抗体が導入された。頻度の高い軟骨無形成症については2019年に日本小児内分泌学会から「軟骨無形成症診療ガイドライン」が発表され、治療法として成長ホルモン、四肢延長術が記載されているが、全く新しい治療法としてCNPアナログの臨床試験が進行中である。

 今回のカンファレンスではこれまでNICUで診療した骨系統疾患を提示するとともに、最近歯科との連携により診断した歯限局型の低ホスファターゼ症の症例についても解説する。

5月カンファレンスのお知らせ

【産業医科大学小児科クリニカルカンファレンス】
日 時 : 令和3年5月10日(月)19:00~
場 所 : 産業医科大学2号館2階 2208教室
担 当 : 神経グループ
演 者 : 柴原淳平、福田智文、石井雅宏
テーマ: 抗N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体抗体脳炎

要 旨 :抗NMDA受容体抗体脳炎は2007年に提唱され、当初は卵巣奇形腫を有する若年女性に好発する稀な自己免疫性脳炎と考えられていた。しかしその後、発症頻度は比較的高い疾患であること、男女を問わずあらゆる年齢層で発症し得ること、小児でも稀ではないことが明らかになってきている。急性脳炎に遭遇した際、①鑑別として感染性脳炎以外に自己免疫性脳炎も挙がること、②腫瘍合併例では腫瘍切除が有効なため腫瘍検索が重要であることを知っておく必要がある。

今回のクリニカルカンファレンスでは、卵巣奇形種合併抗NMDA受容体抗体脳炎の一例を紹介し、疾患概念、臨床症状、治療戦略について解説する。