11月クリニカルカンファレンスのお知らせ

日 時:平成28年11月28日(月)19:00~
場 所:産業医科大学図書館2階 2208教室
担 当:産業医科大学小児科学 内分泌グループ
演 者:池上朋未、荒木俊介、山本幸代
テーマ:症状と病因から考える先天性複合型下垂体機能不全

要 旨:複合型下垂体機能不全(combined pituitary hormone deficiency:CPHD)はGH、PRL、TSH、LH、FSHからなる下垂体前葉ホルモンのうち、複数のホルモンの産生・分泌が障害された状態と定義される。CPHDはその病因により先天性(下垂体の形成異常、脳奇形に伴うもの、下垂体発生分化に関わる転写因子の異常)と後天性(腫瘍性、外傷性、炎症性、感染性)に分けられるが、症状が非特異的であり診断が困難であることが多い。しかし、CPHDの見逃しは成長・発達に永続的な障害に繋がるのみならず、life-threatingな状態に陥る可能性もあるため早期に認識され、治療介入が開始されることが望ましい。今回、われわれが経験した異なる症状(低血糖・低体温、小陰茎、遷延性黄疸)を契機に、異なる病因(下垂体茎断裂症候群、SOX2遺伝子異常症、septo-optic dysplasia)による先天性のCPHDと診断した新生児・乳児の症例を提示する。非特異的な症状を呈する新生児・乳児の診療において先天性CPHDを念頭に置くことを重要であり、小児科医に必要なCPHDの診断及び治療の知識について考えたい。