2月クリニカルカンファレンスのお知らせ

日 時  : 平成 30年 2月 5日(月)19時~
場 所  : 産業医科大学2号館 2階 2201教室
担 当  : 腎グループ
演 者  : 森下高弘、斉宮真理
テーマ: 膜性増殖性糸球体腎炎Ⅰ型の9歳女児例
要 旨:症例は9歳女児。学校検尿で初めて血尿蛋白尿を指摘された。低蛋白血症、低補体血症を認めたため腎生検を施行し、膜性増殖性糸球体腎炎Ⅰ型と診断した。ステロイドパルス療法、ミコフェノール酸モフェチル、ロサルタンによる多剤併用療法を行った。治療開始6か月経過し、治療効果を示した。近年、小児の膜性増殖性糸球体腎炎は減少し、まれな疾患となっている。確立された治療は存在せず、本症例も治療立案に苦慮した。本症例の治療方針について考察する。また膜性増殖性糸球体腎炎における最近の知見を含めて報告する。

1月セミナーのお知らせ

日 時: 平成30年1月18日(木)19時~
場 所: 産業医科大学図書館 2階 2201教室
講 師: 産業医科大学医学部呼吸器内科学  教授  矢寺和博 先生

テーマ:気管支喘息の診断と治療

要 旨: わが国における喘息診療は吸入療法の進歩や普及などにより喘息死者数が継続的に減少し、年間1,500人程度まで減少したが、高齢者の比率が極めて高いことが問題である。また、鼻炎や好酸球性副鼻腔炎、COPDなどの合併症対策も重要であり、喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)についても新たな知見が集積されており、日本呼吸器学会から「ACO診断と治療の手引き」が発刊予定である。
近年実施可能となった検査としては、呼気一酸化窒素(FENO)測定と呼吸抵抗(IOS、
MostGraph)があり、好酸球性気道炎症や呼吸機能検査では分からない呼吸抵抗の評価も安静呼吸のみで評価が可能となった。
SACRAサーベイにより、日本の喘息患者の約7割に鼻炎が合併していることが報告されており、鼻炎があるだけで、気管支の好酸球浸潤と基底膜肥厚が認められることも報告されている。また、近年診断基準が提唱された好酸球性鼻副鼻腔炎は、成人発症で篩骨洞病変が主体であり、嗅覚障害を主訴とし、両側に多発性の病変を認め、末梢血中では好酸球増加を伴う難治性の副鼻腔炎である。副鼻腔炎や鼻炎合併喘息患者への点鼻ステロイド薬の鼻症状に対する効果はもとより喘息に対する効果も報告されており、吸入ステロイド薬の鼻呼出などの効果も近年報告されている。
短時間作用型気管支拡張薬は発作時治療に有用であるが、気管支拡張薬のみによる治療では喘息がより悪化する場合があり、喘息管理ガイドラインにあるように吸入ステロイド薬を中心とした抗炎症治療を中心とすべきであり、注意が必要である。
抗IgE抗体、抗IL-5抗体などの抗体製剤による治療薬やbronchial thermoplastyなどの新規の喘息治療のモダリティが続々と登場しており、重症・難治性喘息におけるこれらの治療の適切な使い分けなどの知見が望まれる。