日時:平成27年7月6日(月)19時~
場所:産業医科大学図書館2階2208教室
担 当:感染・免疫グループ:山本 昇、保科 隆之
テーマ:カテーテル関連血流感染症を発症した2例 ‐血液培養2セット採取の重要性とコンタミネーションの解釈‐
要 旨:
小児の菌血症の発症率は、PCVおよびHibワクチンの普及により著しく減少した。一方、高次医療施設では、難病および重篤な疾患の治療のために長期間の中心静脈カテーテルが挿入されている症例も少なくない。長期のカテーテル留置は、血流感染症を発症する最大のリスク因子であり、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)が疑われた場合は、早期のカテーテル抜去が望ましい。しかし、血管の再確保は必ずしも容易ではなく、CRBSIの適切な診断を行うことが重要である。近年、小児においても血流感染症の診断のために血液培養を2セット採取すべきであるという考え方が浸透しつつある。
我々は、最近、短期間に複数回の中心静脈カテーテル関連血流感染症を発症した症例および末梢カテーテル関連血流感染症を発症した経験し、診断確定に血液培養2セット採取が重要であることを再認識した。小児感染症専門医の中での血液培養採取に関する見解と検出された病原体によっては全身検索が必要である点について概説する。また、検出された病原体によってはコンタミネーションと判断することがあるが、その判断の危険性についても実例を挙げて概説する。