7月クリニカルカンファレンスのお知らせ

日 時:平成28年7月4日(月)19:00~
場 所:産業医科大学2号館 2階 2201教室
担 当:産業医科大学小児科学 感染・免疫グループ
演 者:伊藤琢磨 福田尚子 保科隆之

テーマ:この症状の犯人はパルボウイルスだった!!
~多彩な症状を呈するヒトパルボウイルスB19感染症~

要旨:ヒトパルボウイルスB19(パルボウイルス)は、伝染性紅斑を引き起こすことで小児科医にはなじみのある疾患であるが、その他にも多彩な症状や疾患を引き起こす。妊婦に感染した場合には、胎児死亡や胎児水腫に至ることがあり注意する必要がある。また、溶血性貧血を基礎疾患に持つ患者に感染すると急速に貧血が進行することも知られている。
本カンファレンスでは、パルボウイルスによる赤芽球ろうを契機に溶血性貧血が疑われた症例、ぶどう膜炎の精査中にパルボウイルス感染症が判明した症例およびパルボウイルス初感染による急性肝不全によってWilson病と診断された症例を提示し、パルボウイルスが引き起こす多彩な症状や疾患の発症メカニズムについて考察する。

6月クリニカルカンファレンスのお知らせ

日 時:平成28年6月20日(月)19:00~
場 所:産業医科大学2号館 2階 2201教室
担 当:産業医科大学小児科学 新生児グループ
演 者:多久佳祐、清水大輔、菅秀太郎、荒木俊介

テーマ:16SrRNA遺伝子解析により診断したMycoplasma hominis 髄膜炎の一例

要旨:Mycoplasma hominis(M.hominis)はUreaplasmaなどとともに泌尿生殖器に常在する微生物の1つで、新生児に産道感染を起こすことが知られている。周産期におけるM.hominisの感染は絨毛羊膜炎や産褥熱、早産児における慢性肺疾患との関連性が報告されているが、新生児における侵襲的感染症の起炎菌としての報告は稀である。今回われわれは遷延する無呼吸を契機に髄膜炎、水頭症と診断した早産児において、起炎菌の同定に苦慮したが16SrRNA遺伝子解析により髄液からM.hominisを同定できた症例を経験した。
通常の細菌培養では起炎菌が同定できない新生児髄膜炎の管理において16SrRNA遺伝子解析は有用なツールであり、また起炎菌としてM.hominisも念頭に置いた治療戦略を考慮する必要性を示唆する貴重な症例であった。