日 時 : 平成 29年 1月 15日(月)19時~
場 所 : 産業医科大学2号館 2階 2208教室
担 当 : 血液・凝固グループ
演 者 : 渡邉俊介、押田康一、白山理恵
テーマ: 小児リウマチ性疾患
〜当科での若年性特発性関節炎(JIA)の治療経験と最近の知見〜
要 旨:小児期に見られるリウマチ性疾患は若年性特発性関節炎(JIA)、全身性エリテマトー
デス(SLE)、若年性皮膚筋炎(JDM)の順に多い。いずれの疾患でも診療には全身性長期予
後を見据えた全身性のアプローチが必要とされる。今日、小児期の原因不明の慢性関節
炎がJIAとしてまとめられ、その分類基準及び治療指針が設定された。JIAの分類のなかで
は全身性が最も多く、合併症も重篤なマクロファージ活性化症候群があり、早期診断と初
期治療が特に重要である。全身性JIA診療は、抗IL-6受容体抗体であるトシリズマブを中心
とした生物学的製剤の導入により劇的に予後が改善している。また、病勢評価のための
寛解基準や客観的な疾患活動性の評価法が整備され、適切な診療を行い関節障害を最
低限にとどめるだけでなく、健常児と変わらない集団・学校生活を目指すように治療目標も
変化してきた。今回のセミナーでは、トシリズマブ投与例、マクロファージ活性化症候群合
併例も含めた当科でのJIA症例の治療経験、そして新規治療薬であるカナキヌマブについ
て概説する。