7月クリニカルカンファレンスのお知らせ

【産業医科大学小児科クリニカルカンファレンス】

日 時 : 令和4年7月11日(月)19:00~

場 所 : 産業医科大学2号館 2階 2208教室

担 当 : 感染・免疫グループ

演 者 : 保科 隆之、米田 哲、永汐 孟、大内田 史織

テーマ:患者数が増加している梅毒に対して小児科医が対応すべきこと -梅毒母体から出生した児への診療を経験して-

要 旨 : コロナ禍でインフルエンザをはじめとする多くの感染症の疫学は変化し、その多くは患者数が減少している。そのような中で、患者数が増加している数少ない患者数把握対象疾患の一つが梅毒である。梅毒は性感染症の一つであり、ほとんどの患者が成人である。しかし、妊婦が感染すると胎児にも影響が生じる。梅毒に感染した胎児が胎内死亡せず出生した場合、出生時からだけでなく出生後に梅毒の症状が出現することがある。死亡することや後遺症を残すこともあるため、母親のスクリーニングと梅毒母体から出生した児の梅毒感染の有無を早期に確認することが重要となる。

当科では最近3か月の間に、妊娠中に梅毒に感染したことが確認された母親から出生した児を2例経験した。本カンファレンスでは、この2症例への診療内容を提示するとともに、近年増加傾向である梅毒の小児への影響および先天梅毒が疑われた症例への対応について概説する。

6月セミナーのお知らせ

【産業医科大学小児科セミナー】

 

日 時 : 令和4年6月30日(木)18:00~

場 所 : 産業医科大学2号館 2階 2208教室

担 当 : 内分泌・代謝グループ

演 者 : 池上朋未、齋藤玲子

テーマ: 性分化疾患

要 旨 : 性分化疾患は、典型的な男児・女児の性腺、外性器及び内性器の分化が「非典型的な」発育状態を呈するものであり、頻度は出生4500人に1人程度と推定されている。出生時に性分化疾患を疑った場合は、社会的性の決定に関わる問題であるため、医学的にも、また両親の心理面においても迅速で適切な対応が必要である。しかし、稀少疾患が多いこと、専門医がチームで診療できる施設が少ないことから、その対応は必ずしも適切に行われていないのが現状である。

今回のセミナーでは性分化疾患を疑う新生児が出生した場合の初期対応、両親への対応の注意点、知っておくべき戸籍法について概説を行う。

 

6月クリニカルカンファレンスのお知らせ

日 時 : 令和4年6月20日(月)19:00~

場 所 : 産業医科大学2号館 2階 2208教室

担 当 : 新生児グループ

演 者 : 清水 大輔、菅 秀太郎、田中 健太郎、渡邉 俊介

テーマ: 多彩な症状を持つ新生児のサイトメガロウイルス感染症

~診断に難渋した 2 症例の経験~

 

要 旨 : サイトメガロウイルス(CMV)は子宮内感染や周産期感染(産道感染・母乳感染など)をきたす重要な病原微生物である。子宮内感染による先天性 CMV 感染症は聴力障害・視力障害・発達障害などをきたし、生後 3 週間以内の尿・唾液・気道分泌物・血液・髄液のいずれかからウイルスが分離されれば診断され、抗ウイルス療法による早期介入で聴覚予後を改善させることが報告されている。一方、周産期感染した正期産児は通常症候化することはないが、早産児(特に 32 週未満、1500g 未満)は症候性の臓器障害(肺臓炎、肝炎、血小板減少など)を引き起こし、母親からの抗体移行が不十分であるため重篤な症状を呈することも多い。しかし、周産期感染をきたした早産児に対する抗ウイルス療法の効果についてはまだ検討されていない。今回のセミナーでは、新生児期の CMV 感染症について、我々が経験した肺高血圧を合併した先天性 CMV 感染症の早産児と周産期感染(産道感染)による CMV腸炎を認めた早産児の 2 症例を中心に紹介したい。