【産業医科大学小児科クリニカルカンファレンス】
日 時:平成31年1月21日(月)19:00~
場 所:産業医科大学図書館2階 2208教室
担 当:血液凝固・膠原病グループ
演 者:押田康一、伊藤琢磨
テーマ:血友病の治療戦略 ~新規薬剤:ヘムライブラの使用経験を踏まえて~
要 旨:血友病治療の原則は血液凝固第Ⅷ因子および第Ⅸ因子の定期補充療法であり、血友病性関節症の発症が抑制され、QOL 向上に大きく貢献している。一方、製剤の頻回経静脈投与と血管アクセスの問題、製剤投与により発現するインヒビターが血友病医療の重大な課題である。近年半減期延長型製剤を中心とした新規製剤の開発が続いているが、一方で新規コンセプトの血友病治療製剤も開発されており、その発展は目覚ましいものである。理想的な血友病の止血治療製剤の条件は、①長時間作用すること、②投与法が簡単であること、③インヒビターが発現しないこと、④インヒビター保有例にも有効であることであるが、これらの条件を満たした新規薬剤が当科でも治験を行っていたEmicizumab(ヘムライブラ)である。2018年5月からヘムライブラが一般処方され、血友病治療はさらなる飛躍を遂げている。今回のCCでは当科でヘムライブラを導入した血友病症例を提示しながら、血友病医療の取り巻く現在の問題点と治療のパラダイムシフトが起きようとしている新規治療法の展開について概説する。